ヨハネ 断章 その3
2001年11月16日 今、
私は彼に出会い、
彼によって出逢った奇跡と
それから彼に対して行った礼節と
それらによって受けた拷問を経て、
自分に立ち返ろうとしている。
私がこれから記そうと思っている
最後の書物は「ある人がみた幻」ではない。
実は、私の長い間抱いてきた願いに相違ない。
祈りではない。
私はずっと躊躇してきた。
あれを残すべきか否か。
しかし、彼は、
彼は、
つまるところ、私を最後まで私としてではなく、
予言者ヨハネの代わりとして私を愛したのだ。
私は、見いだされたのではなかった。
ならば、私が存在しなくなってしまう代わりに、
私はあれを残そうと思う。
最後に声を振り絞って。
誰にも届かないかも知れない。
ただの異端者の戯言として
伏せられてしまうかもしれない。
だが、私は残さずにはいられない。
例え、誰にも見つけられることがなかろうと。
私は彼に出会い、
彼によって出逢った奇跡と
それから彼に対して行った礼節と
それらによって受けた拷問を経て、
自分に立ち返ろうとしている。
私がこれから記そうと思っている
最後の書物は「ある人がみた幻」ではない。
実は、私の長い間抱いてきた願いに相違ない。
祈りではない。
私はずっと躊躇してきた。
あれを残すべきか否か。
しかし、彼は、
彼は、
つまるところ、私を最後まで私としてではなく、
予言者ヨハネの代わりとして私を愛したのだ。
私は、見いだされたのではなかった。
ならば、私が存在しなくなってしまう代わりに、
私はあれを残そうと思う。
最後に声を振り絞って。
誰にも届かないかも知れない。
ただの異端者の戯言として
伏せられてしまうかもしれない。
だが、私は残さずにはいられない。
例え、誰にも見つけられることがなかろうと。
ヨハネ 断章 その2
2001年11月15日 別に、私は福音書を書くつもりはなかった。
そんなことで名を残すつもりはなかった。
ただ、私は見いだされたかったのだ。
そして、彼は私を見いだした。
人は人につくすものだ。
私もそれにならったにすぎない。
そうではないか?
そんなことで名を残すつもりはなかった。
ただ、私は見いだされたかったのだ。
そして、彼は私を見いだした。
人は人につくすものだ。
私もそれにならったにすぎない。
そうではないか?
ヨハネ 断章 その1
2001年11月14日私は、ヨハネという鋳型をした
あらゆる感情や欲望、言葉や行動の総体
にすぎず、
その意味で
普遍的であり固有的である。
つまり、
私は、私に与えられた通過儀礼を受けるが、
それによっておこった感情や知恵、人間関係
といったものは
私以外の何者かにも
おこりうるあるいはおこったことなのだ。
あらゆる感情や欲望、言葉や行動の総体
にすぎず、
その意味で
普遍的であり固有的である。
つまり、
私は、私に与えられた通過儀礼を受けるが、
それによっておこった感情や知恵、人間関係
といったものは
私以外の何者かにも
おこりうるあるいはおこったことなのだ。
同棲時代
2001年11月12日悲しくなるほど好きだって言った
死にたくなるほど好き
とかね
嫌いになるほど好きだなんて
もう忘れた
旧い話
もう忘れて
昔のこと
いつも恋人達は嘘つき
とりあえずは
バカげた笑い話でつないでるけど
悲しくなるほど好きだって言った
死にたくなるほど
とかね
あのときは本当にそう思ってたのに
世界中の男の子
あなた
より
マシ
かもね
死にたくなるほど好き
とかね
嫌いになるほど好きだなんて
もう忘れた
旧い話
もう忘れて
昔のこと
いつも恋人達は嘘つき
とりあえずは
バカげた笑い話でつないでるけど
悲しくなるほど好きだって言った
死にたくなるほど
とかね
あのときは本当にそう思ってたのに
世界中の男の子
あなた
より
マシ
かもね
19歳のセックス
2001年11月11日ふたりの関係
ふたりのシステム
ふたりの契約
ふたりの暴力
ふたりは愛し合って憎しみ合い
騙し合う それでおしまい
きっとふたりはよくお似合いだね
子供みたいに仲がいいしね
そうさふたりはいいコンビみたい
きっとふたりは…
ふたりの現実
ふたりの快楽
ふたりの天国
ふたりの幻滅
ふたりはワイセツ
ふたりは平均
ふたりは完全
ふたりは最悪
ふたりは互いにただ罵り合い裏切り合い
すべておしまい
きっとふたりはよくお似合いだね
子供みたいに仲がいいし
誰もきみのことなど知らないし
誰ひとりきみなんて相手にしないさ
誰にも愛されずに生きるのは
例えばどんな気分?
教えておくれよ
嫌になるほどよく似てるふたり
きっとふたりはふたりきりさ
ふたりのシステム
ふたりの契約
ふたりの暴力
ふたりは愛し合って憎しみ合い
騙し合う それでおしまい
きっとふたりはよくお似合いだね
子供みたいに仲がいいしね
そうさふたりはいいコンビみたい
きっとふたりは…
ふたりの現実
ふたりの快楽
ふたりの天国
ふたりの幻滅
ふたりはワイセツ
ふたりは平均
ふたりは完全
ふたりは最悪
ふたりは互いにただ罵り合い裏切り合い
すべておしまい
きっとふたりはよくお似合いだね
子供みたいに仲がいいし
誰もきみのことなど知らないし
誰ひとりきみなんて相手にしないさ
誰にも愛されずに生きるのは
例えばどんな気分?
教えておくれよ
嫌になるほどよく似てるふたり
きっとふたりはふたりきりさ
18歳の予感
2001年11月10日みんな 笑った 私のこと
恋してるなんて
お化粧落とした私の顔
ぼんやり見てたら
そばかすは消えたけど でも美人でもない
なのに恋してるなんて
もう若くないのに
自分でもおかしいから すこし笑った
みんな 笑った 僕のことも
恋してるなんて
眠れなくて
仕事中に 欠伸してばかり
お昼御飯はサンドウィッチだけ
食べたくもない
だけど恋してるなんて
もう若くないのに
自分でもおかしいのさ すこし哀しいけど
僕も変わったみたい
誕生日もすっかり忘れてた
今年の四月はまだ寒くて春が来てない
だけど恋してるなんて
もう若くないのに
自分でもおかしいから すこし笑った
みんな 笑った 私のこと
恋してるなんて
自分でもおかしいけど
自分でもおかしいけど
自分でもおかしいけど
すこし哀しい
恋してるなんて
お化粧落とした私の顔
ぼんやり見てたら
そばかすは消えたけど でも美人でもない
なのに恋してるなんて
もう若くないのに
自分でもおかしいから すこし笑った
みんな 笑った 僕のことも
恋してるなんて
眠れなくて
仕事中に 欠伸してばかり
お昼御飯はサンドウィッチだけ
食べたくもない
だけど恋してるなんて
もう若くないのに
自分でもおかしいのさ すこし哀しいけど
僕も変わったみたい
誕生日もすっかり忘れてた
今年の四月はまだ寒くて春が来てない
だけど恋してるなんて
もう若くないのに
自分でもおかしいから すこし笑った
みんな 笑った 私のこと
恋してるなんて
自分でもおかしいけど
自分でもおかしいけど
自分でもおかしいけど
すこし哀しい
分別とは
2001年11月9日VICISSITUDE
事物の質や状態の変化。可変性の意。
人間や人生に見られる変化や移ろいのこと。
偶然によって起こる境遇の浮き沈みや
状況の不安定さ。状態の移り替わり、交替。
このようなものに敏感になること。
このようなことに振り回されないこと。
あるいは、あえて振り回されること。
事物の質や状態の変化。可変性の意。
人間や人生に見られる変化や移ろいのこと。
偶然によって起こる境遇の浮き沈みや
状況の不安定さ。状態の移り替わり、交替。
このようなものに敏感になること。
このようなことに振り回されないこと。
あるいは、あえて振り回されること。
小さな戯曲「グリム著白雪姫」Scene10
2001年11月8日グリムが著者に戻った後の世界。手鏡が小人
王子たちのところにいる。
王子:あ、この道はいつか来た道。
何だろう?
私の中に、姫を助けることのできる
もう一人の私がいる。
閉じられた三面鏡で、向かい合ってる
二枚の鏡じゃない方の鏡。
手鏡:それがあなたなの、王子。
グリムと鏡はお互いを写してた。
二つの鏡が向かい合えばそこに迷宮が
生まれるわ。その迷宮に写りこまない
あなたに二つの鏡は憧れていたの。
だから、あなたを創り出したのね。
古典的な配役つかって。
小人あ:あーっ!はよしないと白雪姫のからだが
消えてまう!
小人い:王子!わけ分かんないこと言ってないで
何とかしてよ。
手鏡:今のあなたにならできるでしょ?
王子:ああ。…棺をおろしてくれないか。
小人たち棺をおろす。王子姫にキスする。
小人あ:あーっ!!!!
(小人いが口をふさぐ)
雪がやみ、白雪姫のからだは元に戻り、目を覚ます。
白雪姫:王子…いえ、グリムなの?
わかってるわ。
私、眠っている間に夢をみたわ。グリム
っていう童話好きな人が子供達に話しを
しているの。私たちのことよ。
そうして、グリムは懐かしそうに口にしたわ。
「白雪姫」って。
白雪姫がまわりの雪をあつめ、頭上で散らすと
花びらが舞い降りてくる。
小人う:わかるような気がするなあ。
なんでだろう?
小人あ:話自体はわからへんけど。
小人い:僕らも迷宮の中にいるのかな、ホントは。
王子:姫、鏡のところへ行きましょう。
白雪姫、ひとり割れてしまった鏡のところへ行く。
鏡に手を添え、頬をあてて
白雪姫:鏡よ、鏡よ、鏡さん。
この世でいちばん私を愛してくれたのは
…あなたね、グリム。
【終劇】
※お気に入り登録していないひとは、
秘密日記しらないので、注釈。
これは、中学3年のとき授業で書いたやつ
でーす。ぷぷぷ。遊眠社見始めた時期って
ことね。ははは。
王子たちのところにいる。
王子:あ、この道はいつか来た道。
何だろう?
私の中に、姫を助けることのできる
もう一人の私がいる。
閉じられた三面鏡で、向かい合ってる
二枚の鏡じゃない方の鏡。
手鏡:それがあなたなの、王子。
グリムと鏡はお互いを写してた。
二つの鏡が向かい合えばそこに迷宮が
生まれるわ。その迷宮に写りこまない
あなたに二つの鏡は憧れていたの。
だから、あなたを創り出したのね。
古典的な配役つかって。
小人あ:あーっ!はよしないと白雪姫のからだが
消えてまう!
小人い:王子!わけ分かんないこと言ってないで
何とかしてよ。
手鏡:今のあなたにならできるでしょ?
王子:ああ。…棺をおろしてくれないか。
小人たち棺をおろす。王子姫にキスする。
小人あ:あーっ!!!!
(小人いが口をふさぐ)
雪がやみ、白雪姫のからだは元に戻り、目を覚ます。
白雪姫:王子…いえ、グリムなの?
わかってるわ。
私、眠っている間に夢をみたわ。グリム
っていう童話好きな人が子供達に話しを
しているの。私たちのことよ。
そうして、グリムは懐かしそうに口にしたわ。
「白雪姫」って。
白雪姫がまわりの雪をあつめ、頭上で散らすと
花びらが舞い降りてくる。
小人う:わかるような気がするなあ。
なんでだろう?
小人あ:話自体はわからへんけど。
小人い:僕らも迷宮の中にいるのかな、ホントは。
王子:姫、鏡のところへ行きましょう。
白雪姫、ひとり割れてしまった鏡のところへ行く。
鏡に手を添え、頬をあてて
白雪姫:鏡よ、鏡よ、鏡さん。
この世でいちばん私を愛してくれたのは
…あなたね、グリム。
【終劇】
※お気に入り登録していないひとは、
秘密日記しらないので、注釈。
これは、中学3年のとき授業で書いたやつ
でーす。ぷぷぷ。遊眠社見始めた時期って
ことね。ははは。
小さな戯曲「グリム著白雪姫」Scene9
2001年11月7日手鏡:そう…あんたがそう言うなら…
この世界はツクられたもんなんだわ。
ただの誰かさんのためのオハナシでしか
ないんでしょ?
グリム:ごめん。
でも僕、グリムの居る世界だってオハナシ
かもしれない。
真実なんてありはしないよ。
目に入るものさえ、僕には信じられない。
この世界、僕の頭の中の迷宮さえ水の泡。
手鏡:それで、あんたの居場所に戻って、
この話の続きを書くのね。
「白雪姫」を。
グリム:うん…勝手なのはわかるんだ…でも…
僕は…。そうだなあ、(苦笑)王子に
なりたかったなあ。
…でも、キミに逢えたのは本当に良かった。
手鏡:(苦笑)ほんと勝手よ、あんたって。
グリムが優しく微笑む。すると鏡にひびが入り、
像が写らなくなる。
この世界はツクられたもんなんだわ。
ただの誰かさんのためのオハナシでしか
ないんでしょ?
グリム:ごめん。
でも僕、グリムの居る世界だってオハナシ
かもしれない。
真実なんてありはしないよ。
目に入るものさえ、僕には信じられない。
この世界、僕の頭の中の迷宮さえ水の泡。
手鏡:それで、あんたの居場所に戻って、
この話の続きを書くのね。
「白雪姫」を。
グリム:うん…勝手なのはわかるんだ…でも…
僕は…。そうだなあ、(苦笑)王子に
なりたかったなあ。
…でも、キミに逢えたのは本当に良かった。
手鏡:(苦笑)ほんと勝手よ、あんたって。
グリムが優しく微笑む。すると鏡にひびが入り、
像が写らなくなる。
小さな戯曲「グリム著白雪姫」Scene8
2001年11月6日白雪姫のところに小人たちが駆けつける。
小人あ:姫ー!!姫ー!!
死んでもうたやんかあ!どうしよう!!
王子:私が毒味をしていながら…なんてことに。
小人あ:そうや!あんたのせえや!どないしてけつかんねん!!
小人い:止めろよ!!
小人う:おい…見ろ!
姫のからだが薄く透き通って、
見えなくなっていく!!
どうなってるんだ!?
(姫のからだの辺りをを両手でまさぐる)
小人い:あ・・・雪・・・
小人あ:ほんまや…これ、この感じ…
これ白雪姫ちゃうん?
花びらのような雪が一面に静かに舞い落ちてゆく。
小人う:これは…おかあさんだね。
僕たちの知らないでも知ってる
おかあさんの…
雪は宮殿にも降り積もっている。
手鏡:雪…白雪姫が無くなってしまった。
グリム:やさしいね、姫は。いつだってやさしい。それは誰にも。
白雪姫のいる場所
小人い:「鏡が全てを見れなくなるとき、
白い雪になる方法が用いられる」…
王子:そうだ!姫は、鏡ならいつだって自分を
助けてくれると言っていた。
宮殿へ行こう!
小人う:宮殿へ?じゃあ、宮殿へ運ぶ姫に
ぴったりな美しいガラスの棺を用意
しよう。いいか?
小人い:ああ。
小人あ:姫ー!!姫ー!!
死んでもうたやんかあ!どうしよう!!
王子:私が毒味をしていながら…なんてことに。
小人あ:そうや!あんたのせえや!どないしてけつかんねん!!
小人い:止めろよ!!
小人う:おい…見ろ!
姫のからだが薄く透き通って、
見えなくなっていく!!
どうなってるんだ!?
(姫のからだの辺りをを両手でまさぐる)
小人い:あ・・・雪・・・
小人あ:ほんまや…これ、この感じ…
これ白雪姫ちゃうん?
花びらのような雪が一面に静かに舞い落ちてゆく。
小人う:これは…おかあさんだね。
僕たちの知らないでも知ってる
おかあさんの…
雪は宮殿にも降り積もっている。
手鏡:雪…白雪姫が無くなってしまった。
グリム:やさしいね、姫は。いつだってやさしい。それは誰にも。
白雪姫のいる場所
小人い:「鏡が全てを見れなくなるとき、
白い雪になる方法が用いられる」…
王子:そうだ!姫は、鏡ならいつだって自分を
助けてくれると言っていた。
宮殿へ行こう!
小人う:宮殿へ?じゃあ、宮殿へ運ぶ姫に
ぴったりな美しいガラスの棺を用意
しよう。いいか?
小人い:ああ。
小さな戯曲「グリム著白雪姫」Scene7
2001年11月5日宮殿の鏡の間。
手鏡:鏡!!あんた何やってんの!?
白雪姫が林檎を食べちまったじゃないのさ!
鏡餅でさえお正月の後は家族の口に入って
からだの栄養になるってのに!
…このっ、役立たずっ!!
グリム:僕は、鏡じゃない。
…手鏡、どうしよう。
なんで僕はここにいるんだ?
ここは、ここは僕の創った話の中じゃないか!
手鏡:え?鏡?グリム?
お前は一体何者なんだ?
手鏡:鏡!!あんた何やってんの!?
白雪姫が林檎を食べちまったじゃないのさ!
鏡餅でさえお正月の後は家族の口に入って
からだの栄養になるってのに!
…このっ、役立たずっ!!
グリム:僕は、鏡じゃない。
…手鏡、どうしよう。
なんで僕はここにいるんだ?
ここは、ここは僕の創った話の中じゃないか!
手鏡:え?鏡?グリム?
お前は一体何者なんだ?
小さな戯曲「グリム著白雪姫」Scene6
2001年11月4日魔女に扮した王妃がやってくる。
王妃:そこの仲睦まじいお二人さん。
この林檎はいかがだい?
お前さんたちにぴったりだよ。
なんたって、普通の林檎より重いのさ。
その重さのぶんだけ想いがこもってる。
自分のことが知りたくないかい?
試してみたいと思わないかい?
自分が相手のことをどう想っているのか。
王子:失礼だが、毒味をさせてもらえないか。
お前のような手合いは信用できなくてね。
王妃:そりゃあもう結構ですよ。
気の済むようになさいな。
では、この「想い林檎」を二つに分けて
さあ、こちらをどうぞ、王子。
王子:姫。お先に失礼させていただきますよ。
(食べる)ふむ。大丈夫なようだな。
白雪姫:じゃあ、さっそくいただくわ。
ありがとう、おばあさん。
ふふふ。一体どんな想いがこもっているの
かしらね。
白雪姫は、口にした途端苦しみだす。
驚く王子など一瞥もくれず、白雪姫を満足そうに
見下ろす王妃。
王妃:(高笑い)どんな想い!?
私の積もり積もった怨念だよ!
(空を仰いで)
さあ、鏡!今こそお前に質問しよう!
この世で一番…
王子:お前は王妃だったのか。
おのれこの鬼女め!
王子、剣を抜き、王妃を突き刺す。
恐ろしい形相で手を空にかざしながら血を吐く
王妃の表情がふとやわらぐ。
王妃:お前がグリム…?
王妃:そこの仲睦まじいお二人さん。
この林檎はいかがだい?
お前さんたちにぴったりだよ。
なんたって、普通の林檎より重いのさ。
その重さのぶんだけ想いがこもってる。
自分のことが知りたくないかい?
試してみたいと思わないかい?
自分が相手のことをどう想っているのか。
王子:失礼だが、毒味をさせてもらえないか。
お前のような手合いは信用できなくてね。
王妃:そりゃあもう結構ですよ。
気の済むようになさいな。
では、この「想い林檎」を二つに分けて
さあ、こちらをどうぞ、王子。
王子:姫。お先に失礼させていただきますよ。
(食べる)ふむ。大丈夫なようだな。
白雪姫:じゃあ、さっそくいただくわ。
ありがとう、おばあさん。
ふふふ。一体どんな想いがこもっているの
かしらね。
白雪姫は、口にした途端苦しみだす。
驚く王子など一瞥もくれず、白雪姫を満足そうに
見下ろす王妃。
王妃:(高笑い)どんな想い!?
私の積もり積もった怨念だよ!
(空を仰いで)
さあ、鏡!今こそお前に質問しよう!
この世で一番…
王子:お前は王妃だったのか。
おのれこの鬼女め!
王子、剣を抜き、王妃を突き刺す。
恐ろしい形相で手を空にかざしながら血を吐く
王妃の表情がふとやわらぐ。
王妃:お前がグリム…?
小さな戯曲「グリム著白雪姫」Scene5
2001年11月3日王妃独白。黒い布を引きずるように。
王妃:死に損ないの白雪。お前がいるから鏡は
私を見てくれないのよ。
その上、今隣にいるのは客人の王子じゃ
ないの。
そら、この林檎。
今度こそこれでお前を無きものにし、
鏡の前につきつけてくれるわ。
そうすれば、その時こそ鏡は私以外の
全てを見れなくなり、
私が白い雪に、永遠の美になれるのよ。
そして、鏡、お前も永遠に私のもの。
王妃:死に損ないの白雪。お前がいるから鏡は
私を見てくれないのよ。
その上、今隣にいるのは客人の王子じゃ
ないの。
そら、この林檎。
今度こそこれでお前を無きものにし、
鏡の前につきつけてくれるわ。
そうすれば、その時こそ鏡は私以外の
全てを見れなくなり、
私が白い雪に、永遠の美になれるのよ。
そして、鏡、お前も永遠に私のもの。
インターミッション 私が生まれる前の話
2001年11月2日ぼくたちの仲間の一人にカメラマンの沢田竜彦がいた。
三畳間のそれもやっと部屋と呼べる、ベニヤ囲いの代物を
住まいとし、
壁といわず、天井といわず、
部屋中に他人の写真を貼りつけ、
ボロ隠しにしていた。
それも、気に入った写真は天井に貼り、
(女性のピンナップが多かったが)
敵と思えるものの写真は
(世の中のすべてが敵だったが)
ぜんぶ床に貼り、踏みつけて暮らしていた。
彼は、このパッチワークのような部屋で
時にはトリスを飲み、気がむけば想を練っていた。
そんな彼がある日、どうしたことか「角」を
持って帰ってきた。
この不相応な持ち物の噂はその日のうちに
アパート中に広まった。
誰かに貰ったということだった。
当時の「角」や「だるま」は、いってみれば、
手の届かない天の水であった。
バーの飾り棚の最上階に鎮座ましまして
いるものだった。
今の洋酒の比ではない。
噂を聞いた悪戯連が群れをなして集まってきた
のはいうまでもない。
日頃は寄りつかない連中まで顔を見せた。
しかし、これだけ集まると何を始めるにしても
彼の三畳間では手狭すぎた。
廊下にでることにした。
即席だったが、野菜だらけのすき焼きが廊下に
用意された。
くるま座の中央にボトルが燦然として輝いている
のを見るのはいい気分だった。
しかし、周りを見回すといかんせん人数が多すぎた。
これでは一人あて茶碗一杯もなかった。
それでも、多少はしゃいだ気分でオープニング
を待っていた。
その時である。
それまで黙っていた彼が、突然立ち上がって
「角」をひったくるようにして表へ飛び出したのは。
呆気にとられて止める間もなかった。
居合わせた全員が逃げたと思ったのも無理のない
ことだった。
それは、あまりにも唐突で風のようだったからだ。
しかし、右往するまでもなく、しばらくすると
彼は戻ってきた。
だが、もうその手には、「角」はなかった。
その代わり腕一杯にドブロクとトリスを抱えていた。
彼はみんなを見回すと短く、
『酒屋へ行って替えてきた』
と言った。
これには驚いた。
驚いたのは、彼のやり方もそうだったが、何より
「角」がこんなに大量の酒と交換できるという
ことだった。
感嘆すべき威力だった。
この膨大な量を前にして、みんなはそれまでの
「角」への未練をさっぱり霧散させてしまった。
酒盛りはかえって活気を増した。
飲むほどに酔うほどに、
みんなはすっかり「角」のことを忘れてしまった。
彼はいつものように熱っぽく写真を語り、
ぼくはそれを黙って聞いていた。
三畳間のそれもやっと部屋と呼べる、ベニヤ囲いの代物を
住まいとし、
壁といわず、天井といわず、
部屋中に他人の写真を貼りつけ、
ボロ隠しにしていた。
それも、気に入った写真は天井に貼り、
(女性のピンナップが多かったが)
敵と思えるものの写真は
(世の中のすべてが敵だったが)
ぜんぶ床に貼り、踏みつけて暮らしていた。
彼は、このパッチワークのような部屋で
時にはトリスを飲み、気がむけば想を練っていた。
そんな彼がある日、どうしたことか「角」を
持って帰ってきた。
この不相応な持ち物の噂はその日のうちに
アパート中に広まった。
誰かに貰ったということだった。
当時の「角」や「だるま」は、いってみれば、
手の届かない天の水であった。
バーの飾り棚の最上階に鎮座ましまして
いるものだった。
今の洋酒の比ではない。
噂を聞いた悪戯連が群れをなして集まってきた
のはいうまでもない。
日頃は寄りつかない連中まで顔を見せた。
しかし、これだけ集まると何を始めるにしても
彼の三畳間では手狭すぎた。
廊下にでることにした。
即席だったが、野菜だらけのすき焼きが廊下に
用意された。
くるま座の中央にボトルが燦然として輝いている
のを見るのはいい気分だった。
しかし、周りを見回すといかんせん人数が多すぎた。
これでは一人あて茶碗一杯もなかった。
それでも、多少はしゃいだ気分でオープニング
を待っていた。
その時である。
それまで黙っていた彼が、突然立ち上がって
「角」をひったくるようにして表へ飛び出したのは。
呆気にとられて止める間もなかった。
居合わせた全員が逃げたと思ったのも無理のない
ことだった。
それは、あまりにも唐突で風のようだったからだ。
しかし、右往するまでもなく、しばらくすると
彼は戻ってきた。
だが、もうその手には、「角」はなかった。
その代わり腕一杯にドブロクとトリスを抱えていた。
彼はみんなを見回すと短く、
『酒屋へ行って替えてきた』
と言った。
これには驚いた。
驚いたのは、彼のやり方もそうだったが、何より
「角」がこんなに大量の酒と交換できるという
ことだった。
感嘆すべき威力だった。
この膨大な量を前にして、みんなはそれまでの
「角」への未練をさっぱり霧散させてしまった。
酒盛りはかえって活気を増した。
飲むほどに酔うほどに、
みんなはすっかり「角」のことを忘れてしまった。
彼はいつものように熱っぽく写真を語り、
ぼくはそれを黙って聞いていた。
小さな戯曲「グリム著白雪姫」Scene4
2001年11月1日小人の家の近く。森の中。
小鳥が囀り、美しい花咲く、物語のような場所。グリムの趣味なのか。
王子:鏡が?
白雪姫:そう。お隣の国からいらしたあなたは
知らないでしょうけど、この国の宮殿に
は、会話ができたり、国中の鏡という鏡
に顔の利く大きな鏡が居るのよ。
…私、知っているわ。彼がいつだって
私のことを助けてくれるのを。
王子:「彼」って、その大きな鏡って男なの?
白雪姫:ええ。
彼に対する感情、それは、肉親に対する
確信と似ているわ。
でも、何故かしら…
彼に会うと、私、どうしていいか分からなく
なるの。
(しばらくして、にっこり微笑んで)
私、国中のみんなが好きよ。
あのお義母様でさえ、私は許しているもの。
王子:まるで、雪んこのお雪ちゃんのように
心が広いんだなあ。
白雪姫:そう、それ!
小さな頃は、みんなに「雪ちゃん、雪ちゃん」
って、呼ばれていたの。
でも、その「雪」は、宇宙戦艦ヤマトの
ユキにも斉藤由貴にも聞こえて、
なんだか寂しかった。
私の「雪」は違うのよ。
王子:どんな風に違うの?
白雪姫:一応、特別仕様なの。
本当のお母様に教えてもらったのだけど、
この「雪」は「グリム」の為に降る雪
なのよ。
王子:本当に姫は不思議なことばかり仰る。
「グリム」とは何です?
白雪姫:それは、私も知らないの。
何かのメタファーじゃないのかしら?
小鳥が囀り、美しい花咲く、物語のような場所。グリムの趣味なのか。
王子:鏡が?
白雪姫:そう。お隣の国からいらしたあなたは
知らないでしょうけど、この国の宮殿に
は、会話ができたり、国中の鏡という鏡
に顔の利く大きな鏡が居るのよ。
…私、知っているわ。彼がいつだって
私のことを助けてくれるのを。
王子:「彼」って、その大きな鏡って男なの?
白雪姫:ええ。
彼に対する感情、それは、肉親に対する
確信と似ているわ。
でも、何故かしら…
彼に会うと、私、どうしていいか分からなく
なるの。
(しばらくして、にっこり微笑んで)
私、国中のみんなが好きよ。
あのお義母様でさえ、私は許しているもの。
王子:まるで、雪んこのお雪ちゃんのように
心が広いんだなあ。
白雪姫:そう、それ!
小さな頃は、みんなに「雪ちゃん、雪ちゃん」
って、呼ばれていたの。
でも、その「雪」は、宇宙戦艦ヤマトの
ユキにも斉藤由貴にも聞こえて、
なんだか寂しかった。
私の「雪」は違うのよ。
王子:どんな風に違うの?
白雪姫:一応、特別仕様なの。
本当のお母様に教えてもらったのだけど、
この「雪」は「グリム」の為に降る雪
なのよ。
王子:本当に姫は不思議なことばかり仰る。
「グリム」とは何です?
白雪姫:それは、私も知らないの。
何かのメタファーじゃないのかしら?
小さな戯曲「グリム著白雪姫」Scene3
2001年10月31日舞台中央に、大きな鏡が3つある。
鏡:自分の姿を写してみよう。
二枚の鏡じゃダメだ。三面鏡の真ん中に
立って、一番遠くに写ってる自分の姿を
見てみるんだ。
そうすれば、何か分かるはず。
もし、僕が、グリム、という名の人間なら
どうだろう!
白雪姫に僕の気持ちを伝えることができる
んだ!
いつものように、
僕が信仰してる「困ったときのお調子神」
にお願いしながら・・・
鏡:自分の姿を写してみよう。
二枚の鏡じゃダメだ。三面鏡の真ん中に
立って、一番遠くに写ってる自分の姿を
見てみるんだ。
そうすれば、何か分かるはず。
もし、僕が、グリム、という名の人間なら
どうだろう!
白雪姫に僕の気持ちを伝えることができる
んだ!
いつものように、
僕が信仰してる「困ったときのお調子神」
にお願いしながら・・・
小さな戯曲「グリム著白雪姫」Scene2
2001年10月30日こびとの家
小人あ:なあなあ、これなんやとおもう?
小人い:日本で売れば億はくだらないという
白雪姫の首飾り。
ベルサイユのばら思い出すねえ。
小人う:お前って、つくづくそういうヤツな。
何?ここに書いてあることだろ?
小人あ:そうやねん。
「鏡が全てを写せなくなるとき、
白い雪になる方法が用いられる」
やって。やっぱ、白雪姫に関係してると
思わへん?何だって、国王がわざわざ
こんなものくれはったんやろ?
小人い:宝のありかだったりしてなあ…
小人う:それにしても、あの娘は本当に白雪
姫なのかな。いくら、継母でも娘を
殺すなんてあるか?
小人い:そこはそれ、火サスのノリで。
小人あ:あんなええ子は見たことないわ。
口にした言葉から、一挙手一動まで。
DVDにとって、永久保存したい
くらいやわあ。
小人う:文字通り、痘痕も靨。
小人あ:なあなあ、これなんやとおもう?
小人い:日本で売れば億はくだらないという
白雪姫の首飾り。
ベルサイユのばら思い出すねえ。
小人う:お前って、つくづくそういうヤツな。
何?ここに書いてあることだろ?
小人あ:そうやねん。
「鏡が全てを写せなくなるとき、
白い雪になる方法が用いられる」
やって。やっぱ、白雪姫に関係してると
思わへん?何だって、国王がわざわざ
こんなものくれはったんやろ?
小人い:宝のありかだったりしてなあ…
小人う:それにしても、あの娘は本当に白雪
姫なのかな。いくら、継母でも娘を
殺すなんてあるか?
小人い:そこはそれ、火サスのノリで。
小人あ:あんなええ子は見たことないわ。
口にした言葉から、一挙手一動まで。
DVDにとって、永久保存したい
くらいやわあ。
小人う:文字通り、痘痕も靨。
小さな戯曲「グリム著白雪姫」Scene1
2001年10月29日いかにもその場限りの戯曲という風の設定に
負けていない鏡が一つ。
鏡:雪のように色が白く、墨のように黒い髪
加えて、林檎のように愛らしい頬なんて
わがままな願いを殊勝にも聞き入れられて
生まれ育った白雪姫。
実は、僕は毎日、姫の継母、
世が世になっちゃって今は王妃なんか
になってるおばさんの
(王妃オフ台詞)
鏡よ、鏡よ、鏡さん。この世で一番…
(さえぎるように)
なんて必死のモーションにもなびかず、
ただ、ひたすらに、
姫を想い続けてるんです。
手鏡:あんた、まだあの娘が好きなの?
鏡:ああ、手鏡、いたのか。
君はどこにでも持ち歩いてもらえていいねえ。
手鏡:ふふふ。
それより、今日は情報があんのよ。
あんたのことよ。
鏡:三面記事にでも載ったのか?
「王室の一室にある顔がでかすぎ不器量な
鏡が次期国王に立候補!!こともあろうに、
かの白雪姫と電撃結婚!!!」
なんて。
手鏡:んなわきゃーない。あんたの名前よ。
グ・リ・ムさん。
鏡:なんだそりゃ。
なんで僕の知らない僕を知ってるんだあ。
手鏡:だって、ほら、私たち、
閉じられた三面鏡の関係にあるじゃない。
鏡を写す鏡。その中で思いがけない
三面記事を見つけたってわけ。
鏡:閉じられた?近すぎて良く見えないなあ。
手鏡:あんたの姿が私に写ってきたの。
あんたは、これから目覚めるのよ。
そして、何も写せなくなる。
鏡:何も!?
手鏡:さてと。お給料分の仕事はしたからね。
おまけをつけると、
また、王妃が今度は林檎で姫を殺そう
としてるわ。
(手鏡退場)
鏡:おい!もっとちゃんと教えろよ!おい!
……なんて言ってた?
僕はグリムで……
「グリム」っていえば、国王が僕に教えた
例の国家機密にもそんな言葉がでてきたっけ。
負けていない鏡が一つ。
鏡:雪のように色が白く、墨のように黒い髪
加えて、林檎のように愛らしい頬なんて
わがままな願いを殊勝にも聞き入れられて
生まれ育った白雪姫。
実は、僕は毎日、姫の継母、
世が世になっちゃって今は王妃なんか
になってるおばさんの
(王妃オフ台詞)
鏡よ、鏡よ、鏡さん。この世で一番…
(さえぎるように)
なんて必死のモーションにもなびかず、
ただ、ひたすらに、
姫を想い続けてるんです。
手鏡:あんた、まだあの娘が好きなの?
鏡:ああ、手鏡、いたのか。
君はどこにでも持ち歩いてもらえていいねえ。
手鏡:ふふふ。
それより、今日は情報があんのよ。
あんたのことよ。
鏡:三面記事にでも載ったのか?
「王室の一室にある顔がでかすぎ不器量な
鏡が次期国王に立候補!!こともあろうに、
かの白雪姫と電撃結婚!!!」
なんて。
手鏡:んなわきゃーない。あんたの名前よ。
グ・リ・ムさん。
鏡:なんだそりゃ。
なんで僕の知らない僕を知ってるんだあ。
手鏡:だって、ほら、私たち、
閉じられた三面鏡の関係にあるじゃない。
鏡を写す鏡。その中で思いがけない
三面記事を見つけたってわけ。
鏡:閉じられた?近すぎて良く見えないなあ。
手鏡:あんたの姿が私に写ってきたの。
あんたは、これから目覚めるのよ。
そして、何も写せなくなる。
鏡:何も!?
手鏡:さてと。お給料分の仕事はしたからね。
おまけをつけると、
また、王妃が今度は林檎で姫を殺そう
としてるわ。
(手鏡退場)
鏡:おい!もっとちゃんと教えろよ!おい!
……なんて言ってた?
僕はグリムで……
「グリム」っていえば、国王が僕に教えた
例の国家機密にもそんな言葉がでてきたっけ。
どこかアリー
2001年10月28日いつもいつもアンタに迷惑かけるアタシが
ばかです
波に消えた人の名前、呼ぶなんて
今宵ふたりで跳んだつもりで抱いてすれ違ってるだけじゃ
分かり合うはずもなく別れてく
今夜あたりは裸でいるのよ
最高シュールな夢が見れそうね
女ですもの
アンタこのごろ移り気なるままに
深いわけなどあろうとなかろうと
砂の浜辺で何をするわけじゃないの
恋などするもどかしさや
乱れそうな胸を大事に風に任せているだけ
いっそこのままふらちな心で
夢から覚めずわからずに
ばかです
波に消えた人の名前、呼ぶなんて
今宵ふたりで跳んだつもりで抱いてすれ違ってるだけじゃ
分かり合うはずもなく別れてく
今夜あたりは裸でいるのよ
最高シュールな夢が見れそうね
女ですもの
アンタこのごろ移り気なるままに
深いわけなどあろうとなかろうと
砂の浜辺で何をするわけじゃないの
恋などするもどかしさや
乱れそうな胸を大事に風に任せているだけ
いっそこのままふらちな心で
夢から覚めずわからずに