遠藤 浩輝 講談社 ¥505

遠藤浩輝「EDEN」
Thursday, 13 March, 2003 04:55:30 PM アルファ
1巻から読んでみれば(現在10巻)、遠いところまで来てしまったなという感じがする。
当初、読み切りだったものがどんどん増殖し、テーマが広がっている。
現在は、読み切りで主人公だったエンノイアの息子が主人公になって、彼の成長物語が軸になっているが、この物語も一筋縄ではいかない。
彼に関わる様々な人の過去が描かれ、ストーリーに深みを増している。
人が戸惑いながら傷つきながらも汚れていく様に、共感するとともに、快感を感じるのは何故だろう?
汚れきったヤツには、傷つくココロなんてものはない。
傷を背負いながら罪を背負いながら前進していく様が、人間らしく、それが魅力的なのだと思う。
また、遠藤浩輝の描く女性は素晴らしい。男気があって、それでいて母性を必ず持っている。彼女たちのセックスはとてもリアルで、何故、男性である作者がそんなことまで分かっているんだろうと不思議になる。
あと、遠藤浩輝の特徴といえば、残虐な殺戮シーンだ。それは見事に切り裂かれ、欠片となって散らばっていく肉体が克明に描かれている。人間は肉のカタマリだと叫んでいるかのようだ。これらは、繊細な情緒表現と対極に描かれる。実際、ふたつ合わせて、人間という存在なのだ。
遠藤浩輝もまた人間に貪欲なのではないかと思われる。彼が、楽園をどのような存在として描ききるのか、非常に楽しみだ。

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sphere
こちらでは始めてお邪魔します。
EDEN、全部持ってます。
美術に関わる立場から言うと、遠藤浩輝は美大出身のくせに絵が下手です(笑)彼の作品は、短編集の方が好きなんです。
EDENは一気に読まないと話がつながらないですよね。一筋縄では行かないのだけれど、あんまり記憶力の良くない俺にはちょっと読みにくい……。
彼の描く女性は、多分それぞれが彼の理想像の片鱗なんでしょう。そう考えると彼が美大出身と言うのも凄く頷ける(笑)
ただ、残虐シーンはまだまだですよ。本当。まだ甘いと思う。それがこだわりであるならもっとコマ割りも考えないといけないし、多分本人はそこまで重要視していないんじゃないかな(と思いたい)。
人間に貪欲なのか、興味がないのか、どっちかに一つのような気がするんですが、どっちにしても結果は一緒か。
唯心論者じゃ無い事は確かみたいですけど(笑)
山田 太一 新風舎 上下巻¥890

この作品は私の人生にどれだけ影響を与えたか分からない。
沢田竜也の台詞は心をわしづかみにする。
そして、主人公の目線も正しい。
ラスト
「僕には二人が頑張って自分を越えようとしているように見えた。
自分を克服して、自分以上のものになろうと、張りつめているように見えた。」
自分という枠を広げるということはとても難しい。
でも、私は広げる努力を続けたい。
何処まで広がるのか。
どこが広がらないのか。
広がらないところがそのときの自分の輪郭。
自分の輪郭は時とともに変わっていく。
その変化を歓迎したい。
堕ちるところまで堕ちてもそれが自分なのだし、
そこからはい上がってもそれが自分なのだ。

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