毎朝おこなわれる礼拝の時間
ちょいとチャペルを抜け出して

教会の鐘が割れたのを
便所の中でひとり嗤った

莫迦なことを、とほざいた
制服のあの頃
たまに思うわ
損な性格だって
ときどき思うの
これじゃ、いい男が逃げちゃうわって

まあ、でも、これがアタシなんだから
しょうがないわよね

別人のように振る舞ったって
いっとき巧くいったとしても
後で苦労、いやもとい、後悔するだけ

このアタシ
そのままのアタシがいいっていう人じゃなきゃ
いやだしねえ

まあ
アタシの相手すんのも大変だと思うんだけど
宇宙のどっかに
そんな運の悪いおとこもいるでしょ

しょうがない
この言葉、けっこう好きなの
あきらめよりもなにか決意を感じるから

そんな感じ!

提案。

2001年9月10日
ひとりで
ナントなく
テレビを見ようよ。

世の中、なにが起こるかわかんないからネ。

へそまがり

2001年9月9日
みんな、山を見る
オレ、川を見る

みんな、東京に集まる
オレ、旅に出る

テレビ観る
行きつけの店でメキシコ飲む
命取りになりそうなこの弾疵も
星形に裂けたこの疵も
僕の最悪の痛手では決してない

僕の譫言をはぐくむあの人の知らない不幸となると
これはかつてまだどんな魂も宿したことのない
でっかいやつだ

この燃えさかる苦痛を僕は身中に抱いている
蛍が絶えずその身を焦がしているように

アレはアレ

2001年9月6日
人呼んで色ごととなすアレ
そのためにだけ世界が呼吸しているアレ
おかげで皆さん出るの入るの 昼だの夜だの
生きるの 死ぬの やれ良いの やれ悪いのと

ご苦労さんです
私は別れるのが下手で、
関係を長引かせる。

別れるにしても、
相手が私から気持ちが離れているのを
感じたうえで、
つまり、
潮時を待つ。

こんな私は振られることが多いと
おもっているのだが、
決してそうではない。

たとえ振っていても
その記憶がないのだ。

それが幸福なのか不幸なのか
そんなことは知らない。

ただ分かっていることは
誰もが哀しみを抱えているということ。

それだけは、確かだ。

ヒトノシュウセイ

2001年9月3日
ずっしりした黒布が、垂直の襞をつけて
垂れ下がっている。黒布の左右・上方は
闇に消えている。

これは舞台の幕です。幕があがったら、
すぐに踊り始めなさい。
たとえ、どんなことがあってもイライラ
してはいけません。

まだ幕があがる気配はない。

彼は、立脚と休脚とを交差させ、開始を待っている。
ときどき、疲れてどうしようもなくなると姿勢を
かえた。
いわば鏡に映ったときのように左右逆の姿勢を
とるのだ。

ぼんやりしてはいけない。いつ幕があがるかも
しれないじゃないか。幕が上がれば、全身全霊
をもって踊りを披露しなきゃいけない。
彼は満足した。
どのステップも正確に思い出せた。
巧く踊れる自信があった。

あいかわらず幕は上がらない。

最初の興奮は、次第に心の底からこみ上げる
腹立ちにかわっていった。
できることなら、舞台から駆けだして、どこか
で大声で苦情を言い、失望と怒りをぶちまけ、
抗議したかった。

しかし、どこへむかって走り出せばよいのか?

眼前にわずかに見える黒布だけが、彼に方向を
教えてくれるものだった。この場所を離れると、
闇の中で手探りすることになる。
そんなとき幕が開き、舞台が始まったら…

だめだ!そう想像しただけで彼は恥ずかしさで
熱くなった。
いや、待ち通さねば。

彼は、立脚と休脚とを交差させ立っていた。
ときどき、疲れてどうしようもなくなると、
彼はポーズをかえる。
もう何度目なのか分からないが、
鏡に映ったように左右が逆のポーズをとるのだ。

そのうち彼は、幕がいつあがるのか信じるのを
止めていた。
けれども、自分の居場所を離れられないことも
分かっていた。
出番が来て、踊りが成功しようと失敗しようと
そもそも出番など来なくても、
もはやどうでもよくなった。
すべてのステップも忘れてしまった。

目の前にはずっしりとした黒布があり、
その左右・上方は闇に消えている。
結局世界は終わらなかったけど、
自分にとって気持ちのいい世界は
あっという間に終わっちゃうんだよね

だから
大切な人には限りなく優しく
そうでない人には限りなく残酷に

優しくできる人の数は限られている


たとえ何が起きても世界は何度でもやり直す
そして
本当は何も変わってないくせに
「変化」とやらは僕たちを取り残していく

でも それでいいのかも
悪夢から目覚めた朝は
世界がいつもの通りで良かったと思うから

神様は
上から世界を見守っているのかな
それとも
見下して いるのかな
自分を失うことよりも
あなたを失うことの方が恐ろしい

他人を愛するということは

いつかおとずれるであろう
その恐怖に耐えることを意味する

それを思えば
無駄な時間など
無駄なことばなど
無駄なセックスや
無駄な嘘など

なにひとつ無いのだ

夜の果て

2001年8月31日
 彼といると時折、「夜の果て」
 を見てしまうことがあった。
 私にとってそれは、これまでに見たことのない
 光景だった。
 最中のことではない。
 最中はただ2人の間にはなんのすき間もなく、
 心がさまようこともない。
 彼はセックスの最中に何もしゃべらない人なので、
 あんまりそうなので、
 私はふざけていろいろなことを言わせようとするけれど、
 本当は黙っていることがとても好きだった。

 何だか彼を通して巨大な夜と寝ているような気がする。
 言葉がないぶん、彼本人よりももっと深いところにある
 本当の彼を丸ごと抱いているような気がする。
 そこが大きなホテルであっても、
 駅の裏にあるような安宿でも変わりはない。
 真夜中に、何だか雨や風の音が聞こえる気がして、
 ふと目が覚める。
 ふととなりを見ると彼がぱっちり目を開けている。
 私はなぜか言葉を失くして、
 黙ってその目をのぞきこむ。
 なぜ、この人といるとこんなに寂しいのか。
 2人の間にある複雑な事情のせいかもしれないし、
 私が2人のことに関して好きという気持ち以外の何も、
 どうしたいというはっきりした気持ちを持っていない
 からなのかもしれない。
 ただ、ひとつ、ずっとわかっていることは、
 この恋が寂しさに支えられているということだけだ。
 この光るように孤独な闇の中に
 2人でひっそりといることの、
 じんとしびれるような心地から
 立ち上がれずにいるのだ。
 そこが、夜の果てだ。
酔っぱらって朦朧としている時はしあわせだった
でも今ぼくがどれほど惨めか誰にもわかりはしない
ぼくは仕事を探していた
そして仕事を見つけた
だけぼく
どれほど惨めなことか

このぼくの人生ど今の
ぼくが生きていようが死んでいようが気にもしてないやつらに
どうしてぼくの貴重な時間をさいてやれるというのか

恋人達が絡み合ってぼくのそばを通り過ぎる
今のぼくときたらどれほど惨めなことか
ぼくは仕事を探していた
そして仕事を見つけた
だけど今のぼく
どれほどみじめなことか

一日の終わりに彼女がぼくに求めたこと
あのカリギュラさえ顔を赤らめるよ
「家の中にずと閉じこもりすぎよ」
そう彼女が言った
だからぼくは当然のごとく逃げ出した

このぼくの人生
顔面に蹴りを入れたくてたまらないやつらに
どうして微笑みをなげかけられるってんだ


遅すぎた発見

2001年8月29日
じゃ、これが地獄なのか。
こうだとは思わなかった…
二人ともおぼえているだろう。
硫黄の匂い、火あぶり台、焼き網なんか
要るものか。
地獄とは、他人のことだ。



憂鬱は凪いだ熱情に他ならない。



大人になる瞬間

2001年8月27日
「どうか僕を幸福にしようとしないで下さい。それは僕に任して下さい。」


LIFE(名詞)

 肉体を貯蔵して、腐敗しないようにしておく精神的な漬け物。
 われわれは、そうした漬け物をなくすようなことがあっては
 大変だと、日々不安な思いにかられながら
 生活している。
 それでいて、いざなくなったとなると、
 そこまで惜しいとも何とも思わないのが普通である。
 「人生は果たして生きるだけの価値があるのか否か」
 という問題は、昔から盛んに議論されてきた。
 とくに、価値なしと考える連中が好んで
 この問題を取り上げるが、
 その連中ときたら、自分の見解の正しいことを
 確証しようとて、長々とかき立てる一方、
 健康の法則を注意深く守り続けることによって、
 長年に渡って、論議の名誉ある成果を享受してきた者が
 ワンサといる。



囚人の最後の歌

2001年7月1日
何故こんなにもいる人々の
一人一人がお互いに
まったくちがっているのだろう?

人に嫌われる蛇だとて、望んで蛇になったわけではないだろう
おなじ命を宿すのならば、人間に、選べるならば王家にこそ生まれたかったと
言うはずだ

その人間というのが不思議なイキモノ
殺し合い騙し合い奪い合い
おなじ心のもう一方で
愛して信じて与え合う
どちらが本当なのだろう?

退屈しのぎの戯れに、ふと創りだした生命が
あれよというまに枝をはり
かくまで複雑怪奇な感情を持ち、走り出し
手に負えなくなるだろうことを予言して
あっぱれ全能の大神は
見えない鎖を張り巡らせて、一人残らず 我らを繋いだ
運命という名の舞台に

何も知らずに人は笑う
光と影を交互にくぐり
定めの道を定めと知らず
歩き 踊り 振り返り

それでも人と生まれたからには
みどりの風を身に纏い
威風堂々
生きてみよう
祈り 闘い 愛し合おう

しあわせなときは不思議なちからに守られてるとも気づかずに
けど、もう一回と願うならば、それは複雑なあやとりのようで
寒い冬の朝に、ひとりきりの部屋で、
呑み込まれていく魔法のようなもの感じてる。

永すぎる春と知りながら
僕らは、何度も会い、酒をのんで
ふたりでよく観た映画は何故だか
ダウン・バイ・ローとかビバップとか

そんなことの全て
僕らが見た光
眩しすぎて、生々しくて
痛むよ
とりあえず。

いつも、いつも君が恋しくて
泣きたくなるわけなんかないよ
思い出すたび何か胸につっかえてるだけ

BABY,BABY!


お互いのことを知りすぎた
けれど、いやじゃないよ、今そう思う
手製ドライカレーを食べたり、生春巻を探して夜をすぐ出かけた
そんなことの全て僕らが見た光

眩しすぎて、生々しくて、痛むよ
とりあえず。

いつも、いつも、君が恋しくて、泣きたくなるわけなんかないよ

思い出すたび何か胸につっかえてるだけ
それで何か想っても
もう伝えられないだけ

BABY!

そんなことの全て
僕らが見た光

呑み込まれていく魔法のようなもの
待っている

そんなことの全て
僕らが見た光

呑み込まれていく魔法のようなもの
待っている
目に見えないモノが僕のまわりを包んでいる
光を僕にあてる 反射して
僕の姿をうつしだしている

本当は、真っ暗闇なのに。

つまり、世界はモノでつまってる
いきくるしいね

さわってみよう

人の口の中を触った感じ

僕の口の中は
こんな感じ

僕の耳は無防備で
モノはいやなコトバを注ぎ込む すると
僕の胸のモノが化学反応を起こして
ずっしり重い

せめて手軽にしていたいね
いつでも耳をふさげるように

いつでも君の頬に添えることができるように。

本当は真っ暗な中で
誰が見ることができる?
見ることもできないのに
何を叫んでいるんだろう

ヒトという名の盲目の白アリ

食って 寝て 排泄して 交わって
それぐらいにしときなさい

SHE SAID,SHE SAID.

2000年12月10日
彼女は言ったんだ。

「死んでるってどんな気分か分かるわ」
「悲しいのってどんな気分か知ってるわ」

そうやって、いつも彼女は僕を
まだ生まれてきてさえいないような気分にさせるんだ。


僕は言った。
「そんなこと、誰が君に考えさせるの?
 だって、それ聞いてると、
 僕は気が狂ったような気がしてくるんだよ。
 そう、いつも君は僕を
 まだ生まれてきてもいないような気分にさせる
 んだ」

彼女は言った。
 私が言ったこと、あなた、全然わかっちゃいない

違う、違う。君が間違ってるんだよ、と僕。
僕が小さかった頃、
すべては正しかった、全ては正しかった。

僕は言った。
たとえ君が知ってるつもりのこと、本当に分かってるんだとしても、
僕は君にさよならをするつもり、そうなんだ。
だって、
いつも君は僕を
生まれてきてもいないような気分にさせるんだもの。

彼女は言ったんだ。

「死んでるってどんな気分か分かるわ」
「悲しいってどんな気分か知ってるわ」
「死んでるってどんな気分か分かるわ」

< 18 19 20 21 22 23 24 25

 

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索