世紀末の楽天家

2000年12月9日
午前三時に、オプは10階建のビルから落ちた。
2階を通過する時、彼は言った。
「いまのところ心配ない」
違う!僕はハムレット気取りな訳じゃない、そんな柄でもない。
下っ端貴族ぐらいのもんだ、ぴったりの仕事といえば何だろう
王様の行進の盛り上げ役、芝居の一つ二つもいたしましょう、
王子に忠言申し上げる。間違いない、ただ都合のいい道具なだけ、
でも、実はゴマスリ余念なく、その上さらに口うるさい。
コムズカシイことばかり吐かす割りに、頭自体はちょっと鈍そう。
時には誰が見ても苦笑いー
時には単なる馬鹿とも紙一重。

        年だけはとっていく・・・年だけはとってくなぁ・・・
        ズボンの裾でも巻いてはいてみようか・・・

髪を後ろに撫でつけるってのはどうかな?いっそ、桃でも食ってみる?
いや、フランネルの白いズボンでもはいで浜辺を歩いてみる。
そういえば、僕は人魚達が互いに歌いあってるのを聞いたことがある。

        別に僕のために歌っているわけじゃないだろうけど。

僕は彼女たちが波に乗って波の方へ流されていくのを見てた
彼女たちは風になびく白い髪を梳かしてる
そんな時はいつだって風が吹いていて波を白と黒に分けている。

僕達は海の底の小部屋でのんびり時間を過ごしていた
側には赤や茶色の海草で着飾った人魚の群れ
すると僕らを起こす声がする、その瞬間、僕らは溺れていて・       
一方、昼下がりや日暮れ時は何とも幸せそうに眠っているよ!
細長い指で撫でてもらいながら、
眠ってる・・・疲れ切って・・・いや、狸寝入りなのかな、
床に寝そべって、ここ、君と僕のすぐ側だよ。
それなのに、紅茶も飲んで、ケーキも食べて、アイスクリームまでたいらげちゃうこの僕が、
そんな甘い瞬間をわざわざ首切り台の土壇場まで引きずり込む力を持たなくちゃいけないのか?
これでも僕は泣いて断食した、泣きながらお祈りしたんだよ、
これでも、自分の首が(少し禿げたヤツ)大皿の上に乗っかって運び込まれるのを見たんだ、
もちろん、僕は予言者じゃないさーもっともこんなことたいしたイミはないさ。
僕は、これだという瞬間がちらり顔を覗かせるのを何度も見かけた、
かと思えば、僕につきまとって離れない従僕役がコートの裾を掴んでは忍び笑いするをだって、何度も見た、
つまり、その度、僕は、怖かったんだよ。
ねぇ、こんな風に本当はあるんじゃないかな?
僕にできるのか?そんな度胸あるのか?って、問う時間
皆さんからみりゃ逆戻り、階段を降りてしまう時間
頭のてっぺんには悲しい哉、すでに禿げてる部分ー
(彼女達は言うだろう、あの人髪の毛みるみる薄くなってるわ!)
僕のモーニングコート、襟は顎までしっかり詰めて完璧だ
僕のネクタイ、ぜいたく品だが品もある、でもとめてあるのはそこらへんのピンだったー
(彼女達は言うだろう、でもねぇ、あの人の手足って何て薄っぺらいのかしら!)
いっそのこと
世界をめちゃくちゃにしちまおうか?
1分の間なら余裕もあるさ
その間に全部決めろ、見直しもやるんだ、ところが、もう1分もあればそれも皆逆さになっちまう。


それもそう、僕にはもう全部分かってしまっているんだから、そう全部ー
暮れ方、明け方、真っ昼間
僕は僕の人生をずべてコーヒースプーンで何度も量りきっちゃった。
それじゃあ、行こうよ、君と僕は
夕暮れが広がっているよ、あの空の彼方
手術台の上、麻酔をかけられた患者の意識のよう。
僕達は行こう、あのほとんど人の通らない道を抜けるんだ
ぶつぶつ文句を言いながら遠のいていくのは
一泊いくらの安宿で過ごした眠れない幾晩
それに、上等どころか残飯風味の砂まみれレストラン。
道路はつづいてく、うんざりするような口論みたいに
その後ろでこっそり仕組まれている目論見
君を途方もない疑問へご案内いたしましょう、ってさ。
「どういうコト?」そんな訊くも野暮な話
いいから行こうよ、訪ねゆく旅。
 許して、僕はこれより大きな声で喋れない。
 あなたが、そう、僕の語りかけてるあなたが、いつ、僕の声をきいてくれるのか、僕には分からない。
 いや、そもそも、あなたは、僕の声がきこえるのだろうか?
 僕の名前は、ハル。
 お願いだから、どんなに離れていても、あなたの耳を僕の口にぴったりくっつけていて。いまもそうやって。あるいは、ずっとそうしてほしい。でないと、僕は、あなたに理解してもらえない。で、たとえあなたが頼みをきいてくれないとしても、沈黙というやつがたっぷり残っているだろうから、あなたには、そいつを自分で補ってもらわなくては。僕の声が故障しているこの場所では、あなたの声が必要なんだよ。
 この弱点は、ハルがどんなふうに住んでいるのかということから、説明がつくのかもしれない。つまり、ハルは、彼が覚えている限りでは、全く空っぽの建物に住んでいて、そこでは、声に出されたコトバは、みんな、ほとんど終わることのないコダマになるんだ。
 イエスと私が距離を縮めるにつれて、
 兄は宗教・信仰に対する研究に熱心になった。
 それまで馬鹿にしていた学問に連日打ちこんだ。
 読み書きさえ教わることを拒んでいた兄のその姿は、
 初めて、私に優越感を与えた。
 兄は必死で熱心さをアピールした。
 だが、イエスと出会い、高みの存在を感じるのではなく、
 知ってしまった私は、優越感にひたることさえ許されなかった。
 彼のあがきもまた切なく思えた。
 私は、兄に対して無関心になっていった。
 それは、赦しに似ていたかもしれない。

しのぎのコツ

0年0月0日
夢は現実の続き。
現実は夢の終わり。
現実はしらないところに。
夢は現実の中に。
そして、真実は心の中に。

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