ーどうしたの?
ー荷台から地獄がおちた
ーなんのこと?
ー下りつづけていくほどに、オレは強くない
ーだめよ、転がるように下っていくって言ったのは、
あなたなのだから


ーさよならの挨拶をして、それから殺して
くださるものよ。あたしも、さよならの挨拶
をして、胸を突き刺していただいたのに。
ーオレもせめて、おわびの一言でも叫んでからと
思ったけれど、なにか、もう、あの、ヒメを見ると、
この、あの…
ーいいの。好きなものは、呪うか殺すか争うか
しなければならないのよ。
ねえ、もしもまた新しく、なにかをつくろう
と思うのなら、いつも、落ちてきそうな広くて
青い空をつるして、いま私を殺したように立派な
仕事をして…


ーーそんなところでじいとして、冷たくはありませんか?
ー花の涯から吹きよせる冷たい風も、もうここにはありません。ただひっそりとそして、
ひそひそと、だけどこれからはいつまでも、
ここで身動きせず、じいっと座っていること
ができます。
ーー桜の森の満開の下に?
  それでも行きましょう。
ーー行きはこわいの道しるべ
ーでは、これからが帰りはよいよい?
ーその道しるべには何を刻むの?
ーあっ、その声はヒメ
ーー何を刻むの?
ーこの桜の木の下からどこにもまいらず、
 けれどどこにでもいけるおまじない。

 いやあ、まいった、まいった。


恋の想い出は、桜の下の満開の下のようで。
じっとしていると怖くて気が狂いそうになる。
でも、じっとそこにいて美しい時間を見ていたい
ようなそんな気に駆られたりする。
「まいった」はそんなときのおまじない。
「まいった」と言うとき、人は本当はまいってなどいない。
むしろ楽しんでいる節さえある。
あのころはまいったよ
あのおんなにはまいったなあ
おまじないをいうことで、恋の時間に戻ることも
未来へ進むこともできる。
そう、帰りはよいよいなのだ、恋は。

I Hate Hate

2001年10月2日

チッ

一身上の感性

2001年10月1日
オレが逃げることはありうる。
でも、その途中ではいつも武器を探してんのさ。

精神の涯、ある姿

2001年9月30日
夢は現実の続き。
現実は夢の終わり。
現実はしらないところに。
夢は現実の中に。
そして、真実は心の中に。

キスグルメ

2001年9月29日
舌の上に湧き上がってくる記憶がある。
昨晩の生牡蠣だ。
あの清涼な味が、憶い出し笑いのように
舌の上に拡がってくるのだ。
舌を微かに動かして、あのフックラした身を
なぞってみる。
冷たくて、ひっそりした甘みのあるあの味が
懐かしい。
こんなにも追慕してしまうなんてどうしたのかしら?
それは舌に受けた生理的な衝撃だった。
何かに似ているみたいだなあ、
と考えていて、そうか、思い当たった。

フローズン・ダイキリを飲んだ人とキスした時の、
あの冷たーい、香りのする舌によく似てるんだ。

ハードボイルドな夜

2001年9月28日
割って入んなよ、メロウ
オレの中心にお前の居場所はない

寄ってくんなよ、エゴ
オレの中心にお前の居場所はない

そんな感じで、切り落とされ、出たブルース
錠前はひるんだ、ジュビリーだ!

ねぇ、もう、やっちゃえば?
そう、これからさ、どっち向いてんだ?
ひらきなおり、言うだけの人に、手を振ろう。

ダメだって、良くたって、なんだって、いいんだから、
今は目の前にタネをまいて待とうぜ。

オレだって、誰だって、明日は今日、知れない。
全ての審判は、死ぬ日で充分だ。

深呼吸の方法

2001年9月26日
ねぇ、「慣れてきたよ」って、あんたは言うが、
慣れなんて通じないさ、意味分かんない?

あぁ、オレも、ホントの事なんて、
分かりゃしないんだけど、
本来、たつ場所に、君はいる?

あいつらの言う正論は凍りついて、
さぁ、流れ変えてやろうぜ

一生どん臭い理屈掘りよりか、
まぁ、サイズ合った服、着ようって!

強度

2001年9月25日
「つまらねぇ」。そんな気分に呑まれちゃって、
つまんねぇヤローになんないで。

合わせてばっかいんな。
いっつも息を殺して…
一人でも行くんだ。

あんたに言ってんだ。

知ったようなこと聞こえてくる中、
重度の疲れ混ぜて、
陽の光浴びんだ。
眩しけりゃ、手、かざし…

泣いてられるスキもない頃の僕とね、
今、この黒い世紀を威風堂々と渡るよ。

神経症とは

2001年9月24日
ひりひりした 毎日
刺激 奇跡のような 毎日

刺激
奇跡のような ひりひりした
毎日 不安


しりめりれつな
痛み

実際 退屈すら
お喋り 雑踏 朝のラッシュ 交差点
どこであろうと
耳鳴り

流れる 毎日
熱を持つ 蒸発する 気体になる

近頃の落ち方         欲望

誰かあたしを止めて

傷秋

2001年9月23日
私が目ざめると
花がこくりうなづき
ノートが 白い顔の枕元
そばにいた人の 姿もない
昨日が 今日になっただけなのに
さあ これからどこへ行こう
ふきげんな空は 雨模様なのです

花びんに つめたさと朝を
束ねて たっぷり そそぎこむ
私に鏡をうつして 充分たしかめ
クルリまわって 外へ出た
さあ これからどこへ行こう
ふきげんな空は 雨模様なのです

素の顔

2001年9月21日
あのね、パッっと、素の顔になるとこを見てまうんですよ。
普通に笑いながら喋ってくれても、
向こう行く時に、パッと一瞬素の顔になるじゃないですか、
振り返るちょい前くらいに。
だから僕、客商売の店とかもあかんのです。
こっちが一生懸命喋ってても、なんか作業してる
じゃないですか。
ああいうのが、もう、あかん。
「こいつ俺の話100%聞いてない」って思うんですよ。

そうやってすべてに100%求めて裏切られる
そういうのは、ちっちゃい頃からずーっとありましたねえ。
ぼくの
何もかもが
イヤになった 日曜の午後 二時半過ぎ
年を取って
ずるい顔になって
ただ ひどく くたびれている
鏡の中のありふれた男

バスルームに
鍵をかけたままで
もう誰もぼくに逢えない
これでさようなら
ひげを剃り終えた
ありふれた男
ありふれた話
ありふれた日曜の午後


これは恋ではなくてただの痛み

ふたり
まるで恋人のようなふたり
そして
とてもつかれてるふたり

愛しているとひとことだけ
愛しているといえないなんて

君は天使じゃなくてただの娘

世界中の全ての哀しみを知ってしまった恋人達に
恋人達の幸福の協調が
人知れず腐ってゆく

止めることができる者は誰もいない

ただ待つしかない
終わりを
潮時を
きっかけを

わたしは あなたを 
もうはじめの日のようには愛していない

わたしは もう
あなたを愛していない

愛しているフリにつかれた

ふたりとも煙草の切れし長い夜かな

冷たいのと熱いの

2001年9月17日
愛してるって言えないなんて
愛してないのと同じだと思う
あんなにいつでもキスしているくせに
あんなにどこでもベタベタするくせに

くちづけはどっちが好き?
冷たいのと熱いの
冷たいのが好きなら
冷たくしてあげるから
冷たいのが好きでしょ
冷たいのが好きでしょ

愛してるって言えないなんて
愛してない証拠よ、そうでしょ

お仕置きはどっちにする?
冷たいのと熱いの
冷たいのが好きなら
冷たくしてあげるから
冷たいのが好きでしょ
冷たいのが好きでしょ

ちょっとした悪戯

2001年9月16日
「この扉を絶対に開けてはいけません。
 この扉の向こうは、青い海です。」

エスカレーターで昇ると、
そう張り紙をされたドア。
13階のドアの向こうに海があるとも思えないが、
ここはもしかしたら異世界への入り口だろうか?

ドアのノブに手をかけてみる。
しっくりとなじむ。

扉がゆっくりと開いていく。

扉の向こうでは、
黒い大理石の床に
八角と夜久貝がひっそりと息をひそめていた。

きらめく星と銀河
青い海も見えるようだ

そこにあったのは、海と宇宙だった。
彼はしらんぷりして、わざと私の机の上に座る
わざと私に触れる
夜の窓ごしに写った私の目をわざとじっと見つめたりする

その度に
赤くなったり、緊張したりする私を見るのが
彼は愉しくて仕方ないのだ

でも
私はこの情けないゲームが好きだ

ゲームが続けばいい
彼は私にとっては底が知れてはこまる男性だった
単なる私のエゴなのは分かっている

多分ほんとうのこと
何もいわないで私たちは終わるだろう

でも、
ずっとこのままでいたいと思ったこと
くやしいけどいつまでも忘れないだろう

いつまでも

アイウエオ作文

2001年9月14日
あたまがいたい
かみさま
さびしい
たすけて
なにかが
はみでちゃうの
まんなかの
やみ。
落日が
脇から覗いている。

10円玉

2001年9月13日
或る日
僕は豊かだった

ポケットには10円玉が一枚

にぶい銅色がくすんだ手垢に光っていた
そのなま暖かい手触りは
僕に
無限の拡がりを与えてくれた

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