上手な年のとりかた

2002年10月16日
わたしは知っている、
わたしは傷を負ったが、
年ごとに新しい芽で身を装う木のように
それがひとりでに癒えてしまったことを。

わたしは知っている、
かつては悲しみにうち沈んで歩いたこともあったけれど
わたしが今憶えているすべては
心安らぐ、あの秋の光だということを。

わたしは知っている、
もしも立ち止まって
世の中は失意の歌しか歌わないことに気づいたならば
わたしの人生はもっと不幸になったろうことを。

しかしわたしは
わたしの歌のすこやかさを映す
畑や小川の世界に生きることを選んだのだ。

昼間がその目をぴったり閉じて
空がぐっすり眠ったら、
月は片顔で昇りそめ
星は夜空に穴あける。

わたしは日々年取ってゆく。
でも知ってるぞ、
消えゆこうとする青春は
わたしの不確かな知恵に身を潜め
刻一刻と若返ってゆくことを。

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