外宇宙=内宇宙

2002年10月8日
シカゴの湖畔10月のある午後、のんびりとした公園でピクニックが始まった。
この光景を1mの正方形でかこみ10秒ごとに10倍ずつ離れて見ていくと
視界は10倍ずつ広がっていくことになる。
10m四方の広さ。10秒後に正方形はこの10倍になる。(10の1乗)
画面の中心はあくまでもピクニックの人たちである。
100m四方、人間の10秒で走る距離だ。(10の2乗)
ハイウェイの車や停車中のボートカラフルな競技場が見える。
1km四方、レーシングカーが10秒で走る距離。(10の3乗)
湖畔の大都市が現れる。
10の4乗、1万m四方、超音速ジェット機が10秒で飛べる距離。
ミシガン湖の一端、そして湖の全景。
10の5乗、人工衛星が10秒で横切る距離。
長いひも状の雲が見える。
10の6乗、100万m四方、1の後に0が6つ。
ほんの一分ほどで我々は地球全体を見るまでになった。(10の7乗)
やがて地球ははるかかなたに遠ざかり
後ろに見える星は非常に遠く、位置を変えるまでにはいたっていない。(10の8乗)
光速で1本の線を引く。1秒。(10の9乗)
これは地球が太陽を回る軌道の一部である。(10の10乗)
他の惑星の軌道も見える。
金星、火星(10の11乗)、水星、そして太陽。太陽は広大な軌道を描く大きな外惑星を従えている。(10の12乗)
ずれた軌道は冥王星。(10の13乗)
太陽系の果て、900万の彗星が誕生するところ。
10の14乗、太陽系ははるか遠くの光の点となり、
中心の太陽もあまたの星のひとつとなった。
ここから振り返ってみると(10の15乗)、南の4つの星座が
地球上から見るのと同じように見える。
10の16乗、1光年の距離。
次の星はまだ見えてこない。
この10秒間で距離は10光年に広がり、次は100光年となる。
視界は一段階あがると、大幅に変化し、背後の星も一点に集まっているように見えてくる。(10の17乗)
ついに、うしかい座の最大星アークトゥルスや北斗七星のいくつかの星を通り過ぎる。(10の18乗)
銀河系を通過するにつれ、馴染みのない星やガス雲が我々を取り囲む。
いっきに銀河系の外側に出る。(10の19乗)
更に遠ざかると銀河系の巨大な渦巻きが見える。(10の20乗)
シカゴを離れてから、我々は銀河系をほぼ垂直に飛び出すところまできた。
銀河系のふたつの衛星銀河。大小マゼラン雲。(10の21乗)
10の22乗、100万光年、銀河団が登場する。
輝く光は一個の星ではなく銀河なのだ。
巨大な乙女座銀河団を通過する。地球から1億光年の彼方である。(10の23乗)
ついに我々は視界限界に近づいた。(10の24乗)
孤独な世界。銀河もちりのごとく、本当の宇宙とはこんなものなのだ。
この空虚さは、むしろ正常というべきだろう。
むしろたくさんのものに囲まれた我々の世界が例外なのだ。
ここで、湖畔のピクニックへひたすら帰っていくことにしよう。
2秒ごとに10の乗数を一つずつ減らしていく。
めまぐるしい変化のある部分と単調な部分が交互に現れるのに注意して欲しい。
この動きは次の終着点、ピクニックで寝ていた男の皮膚の下の炭素原子核まで続く。
10の9乗m。10の8乗、7乗。6、5、4、3、2、1。
再び元の地点にたどりついた。

10秒ごとに最終目標までの距離を90%ずつ縮小していく。(10の0乗)
どんどん世界は小さくなっていく。(10のー1乗)
10のー2乗つまり1cm。
数秒で皮膚の中に入る。(10のー3乗)
いくつもの皮膚の層を通過し、毛細血管。
細胞膜。フェルト状のタンパク質が見えてくる。(10のー4乗)
血管の中には赤血球とヒダのあるリンパ球。
白い細胞の中に入ってみる。(10のー5乗)
細胞の原形質の中に細胞核の角膜が見える。
細胞核のDNA。螺旋状のコイルの中には人間の遺伝情報が入っている。(10のー6乗)
二重のねじれた長い梯子のようなDNA分子は強力な遺伝情報の信号を送り出す。(10のー7乗)
原子の段階までくると、形と運動の相互作用がはっきり見える。(10のー8乗)
3つ水素原子が電子の力で炭素原子と結合する例。
4つの電子が外部を形作りこれらはきらきらする量子運動の中に見えてくる。(10のー9乗)
10のー10乗m。1オングストロング。外側の電子の中に入る。
さらに内側の2個の電子を通過する。
原子の中心に向かう途中、広大な宇宙が開けてくる。(10のー11乗)
ついに炭素の原子核が見えてきた。(10のー12乗)
非常に力強く同時にとても小さく。
この炭素の原子核は6個の中性子で構成されている。
原子核の中は量子や中性子で構成され、電子を含む原子が分子を作る。(10のー13乗)
この法則ははるか銀河系にまで続いている。
1個の陽子が画面全体を覆うところまできた。(10のー14乗)
この先はまだ謎である。
クオークというものが存在するとも言われている。
10の40乗への旅は終わった。(10のー15乗)
もしこの画面を1ユニットとするならば、
我々の見た数多くの銀河の集団はこの10の40乗倍。
つまり1の後に0が40個つく大きさであったということになる。(10のー16乗)
■■■とぶそうや感想
私が、パワーズ・オブ・テンで驚愕したのは、外宇宙の姿が、私たちの体内にも存在すること。外宇宙=内宇宙。この事実に愕然としました。私もこの宇宙のひとつにすぎない。中2の私は知ったのです。
そして、まだ謎とされている陽子の中にはきっと、宇宙の果てと同じような真っ暗闇が広がっているに違いないと今でも私は信じています。

私たちは、カラダの中に宇宙を飼っているのです。
そして、宇宙は私たちを包んでいる。
このフシギ。

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