再起

2002年7月11日
ぼくは影のことを考えた。
飛んでる鳥の側には影がない。
着地した時にだけ、
鳥は自分の長くのびた黒い存在を思い起こすことができる。
影はそこにはなくても存在するものを思いおこさせるのだ。
その時までぼくは、自分の影の存在に気づかず、
その意味ではすべてのものたちの影の存在に気づいていなかった。
高い空を飛ぶために、
鳥は翼の下にあるすべての本質を見る必要がある。
そうでないと、惑星の上をただ無目的に飛んでいるだけにすぎない。
存在しないように見えても、
確かに何かが存在するんだと、
ぼくはどきどきしながら考えた。

それから、
とても自然に
ぼくは自分の長い翼を風の中に持ち上げ、
大きく拡げて、
対岸の端を素直に旋回した。
やっと自分の影を見いだした鳥として、
ぼくはいまふたたび空にもどろうとしていた。
そして以前は、孤独に感じられた今度の経験は、
これまでも多くの鳥が体験したであろうし、
これからもそうだろうことを確信した。
生きるということは、
こうして、空をまもるための智慧を鳥に教えてくれるのだ。

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