死を謳え

2002年7月2日
─今日も血を吐く・・・
私は瀕死のエッセイスト
書くべきエッセイが見つからない
家の中のエッセイは書き尽くしたようだ
仕方なく外へ出かける
すでに公園はエッセイを捜す人でいっぱいだ
植え込みの中や
滑り台の裏
昔はこの公園もいろんなエッセイでいっぱいだった
「やった!エッセイを見つけたぞ!
 これなら5000字は書けるぞ!!
 前後編にだって分けられる!」
嫉妬深い目が注がれる。

─ゴホゴホ
「もう7年以上になりますけどね
 それはそれは大きなエッセイで
 400字づめで30枚でも
 とても書ききれなかった
 ああ…あのエッセイをあなたにも
 読んで欲しかったなあ…

 それは美しくて深くて
 誰が読んでも
 [大切なこと]と思えるエッセイだったんです」

 「・・・・・・・・・・・・・
  あなたもエッセイ探しは病の身にこたえるでしょう」

いやいや、病気のおかげでずいぶんいろいろなエッセイを書かせてもらいましたよ


その日日暮れまでかかって見つけたエッセイは
花壇のすみにうずくまっていた
小さなエッセイだった

アジサイと家族の不和といった
ありきたりのエッセイで
ペラ2,3枚がやっとだった

だが無垢な目をしている。

─そうだ
世の中なんて
[大切なこと]なんてひとつもない
でも、
[捨てていい]こともひとつもないのだろう

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