玉井さん その5

2001年12月16日
 翌朝、結局眠れずに出勤。
 おかげでいつもより早く家を出ることができた。
 玉井さんだ。
 「今日はお早いんですね。」
 「ええ、なんだか眠れなくて。」
 「誰かの声を聞くと安心するんですよ。
  それがよく知らない人でもね。」
 「そういうものですか。」
 「ええ。」
 「いってらっしゃい。」
 「いってきます。ありがとう。」
 初めて挨拶以外の話をした。
 誰かの声。なるほど。
 私が寝る前にバーに行きたくなるのはそのせいか。
 でも、それは玉井さんもそうだ。
 出勤前に玉井さんの声を聞いて安心しているのだ。
 玉井さんはそれを知っていて私に挨拶してくれるのだろうか。
 そういえば、最初に話しかけてきたのは玉井さんのほうだった。
 なんだか不思議な人だな、玉井さんは。

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