イエスが死んでから、
 私は彼の母の世話をまかされた。
 その後、方々へ旅し、
 7聖堂を建てたが、
 ローマに連行され、
 油の煮えたぎる釜に投じられるという拷問を受けた。
 もちろん今も胸から下はやけどの跡が残っている。
 今は、ここパトモス島で静養している。
 いつまたローマの迫害を受けるとも知れない。
 私にはやり残したことがある。
 これから、それが始まる。
 事実を書くのではない。
 私の願いを書くのだ。
 福音書の初めのくだりよりもそれは詩的象徴であふれるだろう。
 「初めに言があった。」「この言に命があった。」
 福音書の冒頭で私はこの世のはじめを書いた。
 しかし、これから残す書物はこの世の終わりと繰り返し。
 キリストの最後の勝利は書簡で慣れたおためごかしだ。
 終わりは始まり。

 どうか、人間の高みへの熱狂が
 数少なくとも消えぬことのないように。

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