重なる次元、私はその一部を垣間見た。
 高い山、それは天へ、次の次元へのぼる道だ。
 そこで、イエスは、モーセとエリヤと話をしていた。
 彼らこそがモーセとエリヤすなわち預言者ヨハネなのだと
 理解できた道理はない。
 ただ頭に浮かんだのだ。
 私や兄、シモン・ペテロの前でふたつの次元が通っていた。
 そして、キリストの主の声。
 だが、私がそのとき祈っていたのは、
 もっと高みへ連れていってくれ!
 そんなことだった。
 近づけそうで、近づけない。
 じりじりするような高みへの熱狂は、
 イエスも平生感じていたようだった。
 だが、彼は分を弁えていた。
 自分が触れることのできる次元や現象を把握していた。
 しかし、ときおり私と話す折りなど、
 彼の目は高みをさまようのだった。 

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