ヨハネ 断章 その3

2001年11月16日
 今、
 私は彼に出会い、
 彼によって出逢った奇跡と
 それから彼に対して行った礼節と
 それらによって受けた拷問を経て、
 自分に立ち返ろうとしている。
 私がこれから記そうと思っている
 最後の書物は「ある人がみた幻」ではない。 
 実は、私の長い間抱いてきた願いに相違ない。
 祈りではない。
 私はずっと躊躇してきた。
 あれを残すべきか否か。
 しかし、彼は、
 彼は、
 つまるところ、私を最後まで私としてではなく、
 予言者ヨハネの代わりとして私を愛したのだ。
 私は、見いだされたのではなかった。
 ならば、私が存在しなくなってしまう代わりに、
 私はあれを残そうと思う。

 最後に声を振り絞って。
 誰にも届かないかも知れない。
 ただの異端者の戯言として
 伏せられてしまうかもしれない。
 だが、私は残さずにはいられない。
 例え、誰にも見つけられることがなかろうと。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索